倫理綱領
名古屋市立大学教員倫理綱領
はじめに
科学技術は私たちに大きな恩恵をもたらし、今後も未知の分野を切り開いていく。この光の部分と対比的に、地球温暖化、資源の枯渇、飢餓貧困等が今日深刻な課題である。持続可能な社会を維持するには、私たち一人一人の叡智を結集し、社会の枠組みの転換と新たなテクノロジーの開発が求められており、大学の役割は一段と大きなものになっている。大学の諸活動は、社会の支援があってはじめて成り立つ。従って、その使命である教育と研究の遂行においては、高い倫理観、厳粛な使命感、そして共生の精神が求められる。このような基本認識に立ち、名古屋市立大学の教員倫理綱領を定める。
1.人格及び基本的人権の尊重
社会は、年齢、性別、国籍、社会的背景、文化等が異なる多様な人たちで構成されている。名古屋市立大学の教員は、学内外の活動において常に人格の尊厳と基本的人権の尊重を旨として行動し、協働、共生社会づくりに参画する。
2.学問の自由と自治
名古屋市立大学の教員は、「大学の自治、学問の自由」の精神と「社会への責任」の自覚のもとに、自らの倫理観をもち責任ある行動をする。
3.教育における責任
- 教育は、大学の最も重要な使命である。名古屋市立大学の教員は、学生との信頼感そして人格とこころの触れ合いが高まるように努める。
- 名古屋市立大学の教員は、自らの知識、技能、経験と熱意をもって教育にあたり、学生に知ることの悦び、学問に対する興味と意欲が湧くよう、また個々人の潜在能力が開花できるように努める。
4.研究倫理
- 研究は、物事の真理を究め、未知の地平を切り開いていく崇高な活動である。研究に携わる者は、生命倫理、地球環境に対する配慮、科学的客観性、説明責任、そして高い倫理観が求められる。
- 研究には、直ちに社会で役立つものからそうでないものまで多様なものがあるが、研究活動は社会の支援の下にはじめて成り立つことに鑑み、名古屋市立大学の教員は、研究成果の開示と説明に十分に努める。
5.社会貢献
大学は地域社会及び国家から大きな支援をうけて成り立ち、本学の運営は名古屋市民の多大な支援の下に行われている。名古屋市立大学の教員は、責任感と使命感をもち、地域の教育、文化、芸術、産業、経済、その他の活動の発展に寄与する。
6.医療における役割
名古屋市立大学の教員は、医学部附属病院において、
- 安心、安全な高度の医療を提供し、市民の健康と福祉の増進に努める。
- 医学、薬学、看護学、コメデイカル教育を充実し、高い倫理観をもつ信頼される医療人を育成する。
7.情報の保護と開示
名古屋市立大学の教員は、個人情報の厳粛な保護と情報の適正な管理・保管・開示に努める。
8.施設・環境の整備
名古屋市立大学の教員は、「地球環境の保全」という視点に立ち、大学の活動を展開していく上に必要な施設と環境の整備に努める。
9.国際交流
名古屋市立大学の教員は、高い倫理観と協調・共生精神をもち、国際連携、国際交流の推進と相互理解に努める。
10.自己改革
大学の諸活動のレベルを高めていくため、名古屋市立大学の教員は、常に自己点検・評価を行い、それに基づいて自己改革を継続していく。
あとがき
名古屋市立大学は、理事長直轄下の倫理委員会と監査室が連携して、教員を始めとする大学構成員各人に、本倫理綱領、各種の倫理関係規程及び倫理に係わる行動指針が、常に浸透し、実行に移される高い倫理観とコンプライアンス機能をもつ大学づくりに努める。