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在学生の声

アメリカ研修の驚きを発見を日本の薬剤師の未来に活かしたい。

薬剤師の仕事を広げたい

子供の頃は野球少年だったという片岡さん。しかし身体をこわし、野球を断念せざるを得なかった。同じ苦しみを味わう人を一人でも減らすため、将来はアスリートをサポートする仕事につこうと決めた。そんな彼が選んだのが、名古屋市立大学の薬学部であった。

しかし病院実習時に彼は、日本の薬剤師が抱える課題と直面した。「薬剤師が患者さんと接する機会が想像以上に少ないんです」。

現在の法律では、薬剤師が治療に参加するのにはかなりの制限があると感じた。それはたとえ薬剤師が得意とする分野においてさえもであった。薬剤師としてアスリートをサポートしたいと思っていた片岡さんにとって、患者さんの力になれない場面が多いことはショックだった。そして彼は決意した。
「薬剤師の仕事の範囲を、自分が広げればいい」。以来、それが彼のテーマとなった。

薬学部4年制時代の最後の年代の彼は、大学卒業と同時に薬剤師の資格を取得。しかし敢えて就職せず、大学院博士課程に進んだ。「将来、博士号をとって薬剤師の仕事の幅を広げるための活動をしたいと思ったんです」と片岡さん。

アメリカの名門大学で学ぶ

現在、彼は大学院でホルモン異常に伴う疾患の病態解明およびその治療法確立のための研究に従事する。

名古屋市立大学では、幅広い視野と教養を持つ人材を育成するため、さまざまな国際交流を行っている。薬学部と薬学研究科でも海外の研究機関との共同研究・研究協力、国際会議などへの教員・学生の国際交流を推進している。その一環として、年に1度、学生をアメリカの南カリフォルニア大学(USC)に派遣するという研修を実施している。USCは100年以上の歴史がある薬学部を持つ名門大学で、1968年に米国初のPharm.D.プログラム(臨床薬学プログラム)を導入したことでも知られている。いわばアメリカの薬学教育の中枢である。

驚きの連続だったアメリカ研修

ある日、先輩の研究者からUSC研修の話を聞いた片岡さんは、すぐに参加を決めた。
「アメリカのほうが薬剤師の制度が進んでおり、薬剤師が患者さんと積極的に関わっていると聞きました。その姿をぜひ自分の目で確かめたかったんです」。

約2週間の研修中に、彼はUSCで多くの授業を受けた。中でも最も印象的だったのが「症例検討」という授業だという。 「ある患者さんの年齢・性別・血液検査などのデータと処方薬のデータが与えられ、その処方について全員でディスカッションを行うという授業。薬剤選択を含め、ここまで実践的な臨床のことを学ぶのかと衝撃を受けた」。

また実習で訪れた大学病院では、薬剤師がICU(集中治療室)の中で点滴の交換を指示していることに感動した。他にも病院内の各病棟内にサテライト薬局が設置されており、医師と治療の薬剤選択についてディスカッションしていることなど、見るものすべてが驚きの連続だったという。 「しかも薬剤師の知識の豊富さがとてつもないんです」。 薬剤の知識の多さはもちろん、病気そのものや患者さん一人ひとりの状態までとてもよく知っている。「自分にはもっと勉強が必要だと思い知らされました」と片岡さん。ここで見たことと経験したことのすべてが、彼の将来に、そして日本の薬剤師の未来につながっていくはずだ。

将来は、大学病院で研究を継続するかたわら、薬剤師の業務拡大に向けた働きかけをしたいと考えている。片岡さんの挑戦は続く。

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