在学生の声
将来のためになることは、何でもする
将来のためになること・自分を成長させてくれることは何でもする。それが、名市大経済学部3年生の大竹菜月さんのモットーだ。そんな彼女は、名市大に入ったら絶対にこれだけはしようという目標を立てた。その一つが「大勢の人前で話すこと」だった。
「人前で話した経験は、将来、必ず役に立つと思うから。それと、もともと性格的に目立ちたがりなんですよ」
毎年、市大祭(名古屋市立大学滝子(山の畑)キャンパスの大学祭)では、市大祭実行委員会の1年生がステージに立って司会を担当する。司会をするために実行委員会に入った彼女は、毎晩遅くまで先輩の指導を受けて練習し、当日は無事に大役をやりとげた。だが、彼女の目的はあくまでも司会をすることだった。だから市大祭の後はあっさり実行委員を辞めるつもりだった。
「でも実行委員の活動は楽しいし、メンバーも楽しい人ばかりで、気づいたら来年も頑張ろうという気になっていました」
実行委員会に残った彼女は、翌年に1枚の企画書を提出した。
「私はアニメが好きなので、声優さんを招いたイベントを市大祭で開催したいと思ったんです」
しかし彼女の意気込みとうらはらに、実行委員の反応は今ひとつ盛り上がらない。
「それ誰?」に始まり、「お客さんは集まるの?」「高いんでしょ?」「その日は大学院の授業があるのでは?」などの意見が次々と出てきた。その瞬間、彼女の負けず嫌いのハートに火がついた。
「翌週の実行委員会の会議までに、一つひとつの反対意見に対する回答を用意しました。その熱意が通じたのか、声優企画は無事に会議を通り、私は準備に携わることになりました」
そしてもう一つ、声優イベントと並行して彼女が進めていたのが、名市大の頭文字を表したNCUダンスの振り付け。実行委員会で「みんなで盛り上がれるダンスが欲しい」という話になった時、彼女は振り付けをさせてほしいと申し出た。
「両手でNとCとUのポーズをとるダンスは、市大祭のフィナーレで大好評でした」
高校時代は演劇部に所属し、みんなで一つのものをつくる楽しさを味わった大竹さん。
「あんなに楽しい経験はもう二度とできないと思っていました。でも市大祭実行委員会で、同じくらいの楽しさを味わうことができました」
みんなで話し合うことで見えてきたもの
もともと国際経済を学びたいと思っていた彼女は、2年生の後期に国際金融論の稲垣先生のゼミを選んだ。
稲垣ゼミでは、日本経済新聞社が主催する「学生対抗円ダービー」に2015年から参加している。これは全国の学生が、数カ月後の円ドル相場を予測するというコンテスト。数字の正確性もさることながら、毎回、学生らしいアイデアに富んだ手法も話題になる。6、7月末の東京外国為替市場の円・ドル相場を予想し、2回の予想を通じて相場との差が最も小さかったチームが優勝となるが、それとは別に予想方法に独自の工夫がみられたチームは「ユニーク賞」として表彰される。2015年は稲垣ゼミのグループの独創的な手法が評価され「ユニーク賞」を獲得した。2016年は賞を逃し、そして2017年、大竹さんたちのグループに期待がかかった。
自主性を大切にする稲垣ゼミでは、卒論のテーマは学生が自由に決める。このコンテストでも、先生はポイントごとにアドバイスをするだけで、為替予測の材料として何を使うかはすべて学生たちに任された。
大竹さんのグループで何度も話し合った結果、アメリカの国防予算と防衛企業の動向を予測の材料として使うことになった。
「北朝鮮によるミサイル発射などのニュースが円ドル相場に大きく影響しているという話になり、日米の『地政学リスク』に最も大きく影響を受けるデータがふさわしいと判断しました」
そこでアメリカの国防予算の推移と、日米の防衛企業を代表してボーイング社とIHI社を選び、過去の株価データを付き合わせた。すると、関連があることが分かってきた。
「週に3回、チームのメンバー全員で集まって分析と検討を繰り返しました。みんなで話し合うと、自分では思いもしなかった視点が次々と出てくるし、話し合うたびに議論が深まっていくのがとても刺激的でした」
その後のレポートづくりに追われる日々はとても大変だった。しかし、ここでも彼女は、市大祭とは別の形でみんなで一つのものを作り上げていく楽しさを知った。
後日、彼女たちの手法は、審査員から「プロの中でもありそうでなかった分析」と高く評価され、見事に「ユニーク賞」を獲得した。しかも稲垣ゼミから参加したもう一つのグループによる「トランプ大統領のツイッター発言」を材料とする手法も同じく「ユニーク賞」を獲得。同じ大学・同じゼミのグループが揃って受賞するという快挙を成し遂げた。
自らの行動次第で、道は広がる
名市大に入って、彼女は経験則的に一つのことに気づいた。
「それは、自分で何かをしようと決めて実際に行動することで、どれだけでも道は広がるという実感でした」
3年生になると、さらにさまざまな行動によって自らの道を広げてきた大竹さん。
まずは市大祭への「愛」と、彼女の「目立ちたい」という思いが融合して始まった(自称)アイドル活動。自ら市大祭のアイドル『ぴーちけん』と名乗り、NCUダンスの動画配信やラジオへの出演などを通して市大祭のプロモーションを行った。
「ある日、近所のカフェで、初対面の人から『もしかして、ぴーちけん?』って声をかけられてビックリしました」
8月には名古屋の夏の風物詩である「にっぽんど真ん中祭り」の司会に挑戦。夏前には「学生対抗円ダービー」の活動の合間をぬって毎晩遅くまで練習し、本番では広いメインステージで大観衆を前にイベントを仕切ってみせた。
また名市大のオープンキャンパスでは、高校生と保護者に「名市大の良さは、一人ひとりの力が集まって大きな成果を生み出せること」と、彼女がこれまで感じてきたことを堂々とプレゼンした。
彼女にとって3回目の市大祭では、これまで自分がしてもらったように、3年生の彼女は1年生・2年生のサポート役としてイベントを盛り上げた。
「本当は、実行委員会メンバーがステージに立つのはあまり良くないんですが」と言いつつ、フィナーレでは実行委員会の仲間のはからいでステージの中央に立ち、自ら振り付けしたNCUダンスを踊らせてもらった。
そして最後に、彼女は市大祭のラストをしめくくる挨拶をした。
「これで私は実行委員会を引退します。でも、いつか私が市大祭に来た時、みんながこのダンスを踊っていてくれたら、すごく嬉しいと思います!」
市大祭が終わると、就職活動が始まる。ここでも、今まで名市大で行ってきたさまざまな活動をベースに、さらに大きな夢に挑戦したいと語る大竹さん。でも、それがどんなに困難そうな「夢」であっても、きっと彼女ならあっさり叶えてしまうに違いない。
自らの行動で自らの道を切り開いてきた彼女がインタビューの最後に明るくつぶやいた。
「名市大に来て本当によかったと思います!」
プロフィール
大竹 菜月(おおたけ なつき)さん
経済学部公共政策学科3年
名市大に入学した時、自分がしたいことをすべて書き出し、これまでに一つずつ実行してきた大竹さん。しかし3年生の今、まだ留学だけ実行できていない。しかしこれから就職活動でますます忙しくなるが、スーパーポジティブ人間を自称する彼女だけあって、「就職活動が終わったら、1カ月だけでも行ってきます!」とあくまでも前向き。ちなみに彼女のニックネームの「ぴーちけん」とは、好物の「いもけんぴ」と「桃(ピーチ)」で「けんぴーち」にしたところ、しっくり来なかったためにひっくり返したのだそう。