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【10/28開催報告】サイエンスカフェ 阪井芳貴先生


第94回 Human & Social サイエンスカフェ
2023年10月28日(土) 15:00~17:00
阪井芳貴 先生 「沖縄民俗学と沖縄平和学と」

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【開催報告】

 「沖縄民俗学」と「沖縄平和学」一見、何の接点も無いようなこの2つのトピックであるが、実はとても関りが深く、現在の沖縄を体現するような学問なのである。

 講演の冒頭で10月10日の那覇の大綱挽の映像を見た。琉球王朝時代から続く祭事で、映像からは人々が綱を懸命に引き合い、活気に溢れた明るい様子が伝わってきた。しかし、現在のこの大綱挽には沖縄戦が深く関わっている。

 沖縄戦開戦の約半年前の1944年10月10日。那覇は空襲に見舞われた。これは沖縄戦の前哨戦とも言われ、那覇、沖縄の人々にとっては、悲劇の幕開けともいえる日となってしまった。沖縄戦と聞くと、6月23日の沖縄慰霊の日を思い浮かべてしまう。しかし、那覇の人々は、この那覇空襲も忘れまいと、そして平和への祈りを込めて、この日に大綱挽行っている。決して忘れてはいけない、重要な意味を持つ日であるのだ。

 このように、現在にまで続く祭事は、戦争を期に新たな意味を持って現在に続くものであり、背景に隠された意味にまで思いを馳せることが、私達に出来る平和のための行動ともいえるのではないだろうか。

 現在の沖縄にもアメリカ軍が常駐し、空には、軍用機が飛び交い、地上には、基地が立ち並ぶ。日常の中に、民俗生活が色濃く残るこの場所の暮らしを、平和への思い、そして実現のためにも、まず、「知る」ということから始め、沖縄に関心を向け続けていくことが求められるのではないか。

(本学学部生 3年 桜井凜理)

サイエンスカフェ阪井先生 会場のようす

サイエンスカフェ阪井先生 講演のようす