リニア開発主義の構造と主体ー名古屋駅周辺の再編をめぐる開発体制の検証
担当者 | 林 浩一郎:人間文化研究科(現代社会学科)、准教授、(専門分野)地域社会学 |
本研究は、名古屋駅周辺における「リニア開発主義」の構造と主体を考察する社会学的研究です。「リニア開発主義」とは、2027年のリニア中央新幹線開通を契機として、経済成長を目指す政治経済システムとそのイデオロギーのことです(林 2020a)。
高度経済成長期のケインズ主義的な「均等発展」という国土開発の建前から、「選択と集中」を志向する新自由主義的な「都市再生」政策へという潮流のなかで、「リニア・インパクト」(江口 2014)に関する考察は喫緊の課題です。リニア開発主義とは、ケインズ主義的開発主義か、新自由主義化された開発主義か、その混合か。リニア開発主義は、名古屋駅周辺にどのようなインパクトを及ぼすのか。「新自由主義化する都市」論(Brenner and Theodore 2002)を批判的に参照し、考察しています。
筆者が、名古屋駅西地区の都市コミュニティを、木田勇輔先生(椙山女学園大学)が名古屋駅周辺の都市政治を、植田剛史先生(愛知大学)が都市空間を調査研究しています(科研費20K02159基盤研究(C)2020~2024年度)。これらにより、名古屋の都市空間をダイナミックに変動させる新たな開発の論理を明らかにします。
【論文】
林浩一郎,2016,「『リニア・インパクト』を見据えた都市戦略――名古屋駅西側の再編をめぐる『まちづくり体制』の構築」『計画行政と中部』29.
――――,2019,「『リニア・インパクト』を見据えた稼ぐまちづくり運動の行方――名古屋駅西側の再編をめぐるエリアリノベーション戦略」『東海社会学会年報』11.
――――,2020a,「リニア開発主義の構造と主体――名古屋駅西地区におけるリノベーション事業と‹草の根の新自由主義›」『日本都市社会学会年報』36.(印刷中)
――――,2020b,「『都市再生』の社会学――開発主義のなかを生きる」『転換期・名古屋の都市公共政策』ミネルヴァ書房.(印刷中)
リニア開発が迫る名古屋駅西側地区
リニア開発主義の枠組