2024年 第2期「内分泌学の100年はわれわれの生・老・病・死をどう変えたのか?」
最新医学講座 オープンカレッジ 2024年 第2期のご案内
- [開講日時] 令和6年8月30日(金)~令和6年10月18日(金) 毎週金曜日18:30~20:00
- [応募受付期間] 令和6年7月16日(火)~令和6年8月2日(金)
- [選考結果] 令和6年8月14日(水)
- [コーディネーター]名古屋市立大学大学院医学研究科 消化器・代謝内科学 准教授 田中 智洋
1902年、英国のスターリング博士らは、小腸で作られるセクレチンをイヌに注射すると膵液が噴出してくることを発見し、“刺激する”という意味のギリシャ語“ορμαν”にちなんでホルモンと命名しました。以来、百有余年、われわれ多細胞生物の体内において、遠く離れた臓器間の情報のやり取りを担うメッセンジャーとして幾多のホルモンが発見され、健康や病との深い関係が分かってきました。本講座ではホルモンの医学、内分泌学を通して、肥満症や糖尿病などよく見聞きする病気から、下垂体や副腎など馴染が少ない臓器の病気まで、最先端の医学に触れて頂きます。
●第1回 8月30日 (金)
内分泌学の100年:“生命のメッセンジャー”の姿を求めて-肥満症を中心に
名古屋市立大学大学院医学研究科 消化器・代謝内科学 田中 智洋
皆さんは「パブロフの犬」を聞かれたことはありますか? 毎日ベルを鳴らした後に餌を与えられた犬は、ベルの音を聴くだけでヨダレを垂らす。つまり耳からの音が神経シグナルとなって唾液腺を働かせる訳です。パブロフ博士の同時代人、スターリング博士らは、神経を実験的に遮断した犬でも、腸に含まれる物質を注射すると、すい臓からすい液が噴出することに気付き、神経とは別のシグナル、「ホルモン」を発見しました。本日は日々の健康を陰でささえる生命のメッセンジャー、「ホルモン」の視点から、食欲や肥満の成り立ちを一緒に考えましょう!
●第2回 9月6日 (金)
進化する下垂体疾患の治療
①名古屋市立大学医学部附属東部医療センター 内分泌・糖尿病内科 高木 博史
②名古屋市立大学大学院医学研究科 脳神経外科学分野 谷川 元紀
②名古屋市立大学大学院医学研究科 脳神経外科学分野 谷川 元紀
① 下垂体という小さな器官から複数のホルモンが分泌されています。下垂体から分泌されるホルモンのバランスが崩れると全身に影響が生じます。なじみがなくてもとても重要な役割を担っている下垂体の機能、その乱れによる病気と治療についてご紹介します。
② 下垂体腫瘍には、1960年代後半までは経頭蓋到達法が用いられ、その後、顕微鏡下の口唇下到達法が標準となり、そして機器の進歩もあり、最近では内視鏡下の経鼻到達法が主流となっている。講義ではこの内視鏡下経鼻到達法を用いた手術に関して解説します。
② 下垂体腫瘍には、1960年代後半までは経頭蓋到達法が用いられ、その後、顕微鏡下の口唇下到達法が標準となり、そして機器の進歩もあり、最近では内視鏡下の経鼻到達法が主流となっている。講義ではこの内視鏡下経鼻到達法を用いた手術に関して解説します。
●第3回 9月13日 (金)
進化する小児の内分泌学-こどもの健やかな成長のために
名古屋市立大学大学院医学研究科 新生児・小児医学 青山 幸平
成長ホルモン治療は毎日打つのが当たり前だったものが、一部の疾患では週に1回で長く効く薬剤が登場しました。1型糖尿病では、インスリンポンプの自動注入が進化し、器械に任せることで血糖コントロールが非常にしやすくなりました。軟骨無形成症や低リン血症性くる病においても新規の薬剤が登場するなど、小児の内分泌分野においても目覚ましい治療の進化が見られます。そんな最新の小児内分泌診療を紹介すると同時に、こどもの健やか成長のための基本についてもお話させて頂きます。
●第4回9月20日 (金)
進化する生殖の内分泌学-精子・卵子の形成、受精から出生まで
①名古屋市立大学大学院医学研究科 腎・泌尿器科学 岩月 正一郎
②名古屋市立大学大学院医学研究科 産科婦人科学 佐藤 剛
②名古屋市立大学大学院医学研究科 産科婦人科学 佐藤 剛
① 男性の一生は、男性ホルモンを中心とした内分泌機能に支配されている、といっても過言ではありません。私からは、「いのち」を次世代につなげるために、内分泌機能がどのように関与しているのか、を皆さんとともに考えていきたいと思います。
② 女性の思春期発来、月経周期ごとの排卵と受精卵の着床、妊娠の維持、陣痛発来などは、女性ホルモンと呼ばれるエストロゲンとプロゲステロンをはじめとするさまざまなホルモンがバランスよく作用することにより、精密かつ巧妙に制御されています。本講義では、女性におけるホルモンの分泌のメカニズムや機能について説明します。
② 女性の思春期発来、月経周期ごとの排卵と受精卵の着床、妊娠の維持、陣痛発来などは、女性ホルモンと呼ばれるエストロゲンとプロゲステロンをはじめとするさまざまなホルモンがバランスよく作用することにより、精密かつ巧妙に制御されています。本講義では、女性におけるホルモンの分泌のメカニズムや機能について説明します。
●第5回 9月27日 (金)
進化するエイジングの科学-内分泌学から迫るヒトの老化
名古屋市立大学大学院医学研究科 消化器・代謝内科学 小山 博之
フレイル(Frailty)とは高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し生活機能障害に陥りやすい状態と定義されます。フレイルにどう対応してゆくかは超高齢社会を迎えつつある日本ではとても重要な問題です。本講義ではわれわれが、フレイルやサルコペニアをホルモンの観点からどのように考え、どように治療しようとしているのかについて分かりやすく解説します。
●第6回10月4日 (金)
日常診療に隠れたホルモンが関係する病気
静岡県立総合病院 内分泌内科 有安 宏之
皆さんは、お腹が痛い時には消化器内科、咳が出る時には呼吸器内科を迷いなく受診すると思います。では、どのような症状がある時に内分泌内科を受診しようと考えますか?内分泌内科は、ホルモンに関連する病気を担当しています。内分泌の病気の中には、体がだるい、体重減少、食欲が出ない、関節痛など、何となく体調が悪いという感覚がきっかけに見つかる場合があります。これまで検査をしても原因が判らなかった方の中に、内分泌の病気が隠れているかもしれません。日常に隠れた内分泌の病気について一緒に勉強してみませんか?
●第7回 10月11日 (金)
進化する副腎疾患の治療-名市大病院副腎腫瘍センターの取組みのご紹介
①名古屋市立大学大学院医学研究科 消化器・代謝内科学 田中 智洋
②名古屋市立大学大学院医学研究科 腎・泌尿器科学 海野 怜
②名古屋市立大学大学院医学研究科 腎・泌尿器科学 海野 怜
① 副腎はおなかの奥深くに左右1つずつある、各数グラムの小さな臓器です。しかし副腎はわれわれが生きるために必要なホルモンを作っており、両方の副腎が無くなると私たちは生きてゆくことはできません。副腎が弱ってホルモンが作れなくなったり、逆に副腎が腫れてホルモンを過剰に作ったりする病気は、気が付かないと見過ごされがちです。今日は内科と外科の立場から副腎の病気について学びます。
② 薬物治療や経過観察などが可能な副腎腫瘍がある一方で、外科的に摘除が必要な腫瘍は多く存在します。2023年よりロボット支援下の摘除術が保険適応となり、当院でも導入を開始しました。本発表では手術方法/成績、手術前後の患者様の経過についてお話しします。
② 薬物治療や経過観察などが可能な副腎腫瘍がある一方で、外科的に摘除が必要な腫瘍は多く存在します。2023年よりロボット支援下の摘除術が保険適応となり、当院でも導入を開始しました。本発表では手術方法/成績、手術前後の患者様の経過についてお話しします。
●第8回 10月18日 (金)
甲状腺の病気といわれたらーーーー
名古屋市立大学病院医学部付属みらい光生病院 内分泌・糖尿病内科 佐々木 茂和
甲状腺はホルモン(甲状腺ホルモン)を作る臓器です。このホルモンは遺伝子に直接作用し、その種類は数千にも上ります。その結果、脳や心臓など幅広い内臓の新陳代謝がコントロールされているのですが、甲状腺ホルモンのレベル自体は絶妙なメカニズムで常に一定に維持されてもいます。甲状腺の病気であるバセドウ病や甲状腺機能低下症、あるいは甲状腺の腫瘍は決してまれではありません。本講座では甲状腺とそのホルモンが生体機能を維持するメカニズム、病気との関わりについて最新情報をお話しさせていただきたいと思います。