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2024年 第3期「脳とこころのサイエンス」


最新医学講座 オープンカレッジ 2024年 第3期のご案内
  • [開講日時] 令和6年11月1日(金)~令和6年12月20日(金) 毎週金曜日18:30~20:00 
  • [応募受付期間] 令和6年9月17日(火)~令和6年10月4日(金)
  • [選考結果] 令和6年10月16日(水)
  • [コーディネーター]名古屋市立大学大学院医学研究科 認知機能病態学寄附講座 教授 野村 洋
「こころ」はどうやって生み出されるのでしょうか。私たちがを考えたり、覚えたり、友達とおしゃべりして楽しんだりできるのは、脳の働きのおかげです。普段は意識しない脳の働きですが、その緻密な機能は決して当たり前ではありません。脳がうまく働かないと、生活に様々な支障が生じます。これまで「こころ」や「こころの健康」の仕組みは長い間ブラックボックスでしたが、最新の脳研究によって少しずつ解明が進んできました。本講座では、脳がどのようにして作られ、「こころ」をどのように生み出すのか、そして認知症や発達障害がどのようなものかを説明し、「こころの健康」について理解を深めることを目指します。

●第1回11月1日 (金)

記憶と学習の脳科学

名古屋市立大学大学院医学研究科 認知機能病態学寄附講座 教授 野村 洋
記憶、というと過去の情報を保存するだけのように思われるかもしれません。しかし実際には、脳の記憶システムは過去をもとに未来の行動を決定する重要な脳の働きです。例えば、勉強を頑張って成績が伸びた体験によってさらに勉強する行動に結びついたり、逆に負の記憶によってその後の行動のモチベーションが低下し、場合によってはPTSDやうつ病が引き起こされたりします。また認知症では記憶システムがうまく働かず、当たり前の日常生活ができなくなってしまいます。この講義では、脳の記憶システムの仕組みをわかりやすく解説します。

●第2回11月8日 (金)

発育期の運動と情動、そしてその障害

名古屋市立大学大学院医学研究科 脳神経生理学 教授 飛田秀樹
脳には大きく2つの働き、動物的機能と植物的機能があります。刻々と変化する外部の状況に応じて最適な行動で逞しく生きることは、動物的機能によって可能となっています。この動物的機能の形成において、発育期は非常に重要な時期であり、運動と情動の働きが発育期の過程で完成します。本講義では、こころのベースにある”情動”とは何か?についてまず説明し、発育期の運動障害や情動形成の仕組みについての研究結果を紹介します。この講義から「こころの健康」の一端がご理解いただければ幸いです。

●第3回 11月15日 (金)

神経疾患と認知機能障害

名古屋市立大学大学院医学研究科 神経内科学 助教 藤岡哲平
超高齢社会を迎えた現状において、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳血管障害などの神経疾患の患者数は増加しており、それによる認知症は身近であり、かつ社会全体での大きな問題となっています。代表的な神経疾患の病態や症状、現在行われている診断や治療の方法、予防や対策について、最新の知見をふまえて、臨床医の視点から解説します。

●第4回11月22日 (金)

キズついた脳細胞を再生するためには?

名古屋市立大学大学院医学研究科 神経発達・再生医学 助教 久保山和哉
神経科学の基本概念を提唱した解剖学者ラモニ・カハールが“一度成長した中枢神経系は損傷しても再生はしない”と述べたように、かつては「脳や脊髄は再生できない」と考えられていました。しかし、1980年代の成体哺乳類脳でのニューロン新生の発見を皮切りに、現在では「中枢神経系の再生は可能である」と常識が変わってきました。本講義では、哺乳類脳におけるニューロン新生システムの仕組みと、キズついた脳細胞の再生を目指した我々の研究活動について理解りやすく解説します。

●第5回 11月29日 (金)

認知症の克服に向けて

名古屋市立大学大学院医学研究科 認知症科学 教授 齊藤貴志
認知症は、特に少子高齢化が進む我が国において、その克服が強く望まれる喫緊の社会問題です。最近、認知症の中でも最も患者数が多いアルツハイマー病に対する新薬が厚労省専門部会にて承認となりました。しかし、さらなる新薬の登場が心待ちにされています。次の新薬までどれくらいかかるのでしょうか?認知症研究はどこまで進んでいるのでしょうか?本講座では、認知症の発症機構を明らかにするために重要なモデル動物の開発についての取り組みを中心に、認知症研究における世界の最前線について解説していきます。 

●第6回12月6日 (金)

おとなの発達障害

名古屋市立大学大学院医学研究科 こころの発達医学寄附講座 教授 山田敦朗
発達障害という疾患は、最近では非常に身近なものになりました。発達障害は子どもだけでなく、おとなになっても続いたり、おとなになって初めて顕在化したりする例も少なくなく、ライフスパン全体を通して、診療を含めた支援が必要です。発達障害臨床では医療にとどまらず、子育て、教育、就労といった日常生活全般に深く関わる支援が求められます。令和5年8月1日に名古屋市立大学病院にこころの発達診療研究センターが設立されました。このセンターの役割を紹介するとともに、おとなの発達障害の臨床を中心にお話しします。

●第7回 12月13日 (金)

新生児行動評価・観察の世界~自閉スペクトラム症の病態解明を視野に入れて~

名古屋市立大学大学院医学研究科 こころの発達医学寄附講座 教授 永井幸代
神経行動発達医学などの進歩により、赤ちゃんは生まれた時から(または胎児期から)一人の人として、行動を通して自ら発信することができる個性豊かな社会的存在だとされています。新生児早期からの赤ちゃんの行動評価、親子への介入方法としてのブラゼルトン新生児行動評価:Neonatal Behavioral Assessment Scale(NBAS)・新生児行動観察:Newborn Behavioral Obserbations(NBO)System の紹介をします。また、それを用いた世界での育児支援や研究の動向、赤ちゃんの行動を通した自閉スペクトラム症の病態解明への可能性などについてお話します。

●第8回 12月20日 (金)

脳腫瘍研究から見えてくる正常な脳発生のメカニズム

名古屋市立大学大学院医学研究科 腫瘍・神経生物学 教授 川内大輔
我々の脳は、適切な時期に適切な数の細胞が生まれ、正しい神経回路網を形成することで、正しい機能を発揮します。この現象は、800億以上の脳細胞それぞれにある遺伝子プログラムによって厳密に決定されます。しかし、内在的な要因や環境要因、放射能などが原因で、この遺伝子プログラムが破綻することがあります。その結果、脳腫瘍が発生することもあります。この破綻したプログラムを解明することで、がん治療だけでなく、正常な脳の回路形成メカニズムを理解する手がかりも得られます。本講義では、脳腫瘍研究の最前線から、正常な脳の回路形成に関する新しい取り組みをご紹介します。