2021年 第2期「“運動器ケア” 健やかに生きるために ~整形外科医からのアドバイス~」
《ウエブ配信》最新医学講座 オープンカレッジ 2021年 第2期のご案内
- [開講日程] 令和3年9月10日(金)~令和3年10月29日(金)
- [応募受付期間] 令和3年7月26日(月)~令和3年8月13日(金)
- [選考結果] 令和3年8月26日(木)
- [コーディネーター]名古屋市立大学大学院医学研究科 整形外科学分野 教授 村上 英樹
普段何気なく動かしている「体」ですが、私たちが自由に体を動かすことができるのは、「運動器」の働きによるものです。「運動器」とは、骨や筋肉、関節のほか、脊髄や神経などが連携し、体を動かす仕組みのこと。どこか1つでも障害されると、体はうまく動かなくなります。運動器が何らかの原因で障害されたものが運動器疾患です。日常生活やスポーツ活動などで突発的に起こる骨折などのケガだけでなく、運動器への継続的な負担や老化が原因となる変性疾患などがあります。運動器疾患は若年者や高齢者に関わらず日常生活や社会生活、スポーツ活動に制限を来たします。整形外科医が、健やかに生きるための運動器ケアの最先端をアドバイスします。
第1回 9月10日 (金) 配信
骨粗鬆症のケア
名古屋市立大学病院 整形外科科 鈴木 伸幸
骨粗鬆症は骨折するまで気づかないことがほとんどです.しかしひとたび骨折を起こすと,骨折は連鎖し生命にまで影響を与えると言われています.高血圧は症状はなくても心筋梗塞などの危険性から治療するのに骨粗鬆症はその危険性が認知されていないため多くの人が治療していません.今までは有効な治療薬があまりありませんでしたが,ここ10年骨粗鬆症に対する新しい薬剤が次々に登場し治癒可能な疾患になっています.今回の講座では骨粗鬆症の危険について再認識して頂くとともに元気に過ごすための骨粗鬆症予防法と新しい薬剤についてお話しいたします.
第2回 9月17日 (金) 配信
膝の痛みのケア
名古屋市立大学病院 整形外科 野崎 正浩
最近は多くの方が健康でいられる期間すなわち健康寿命を意識されています。健康寿命を保つために重要なことは自分の足で歩く事です。しかし年齢と共に膝に痛みを抱える方の割合は多くなり、60代以上では76%の方が膝に何らかの痛みを感じていると言われています。したがって膝の痛みを上手くケアし、自分の足で少しでも長く歩き続ける事が非常に重要です。本講では整形外科膝関節専門医より、膝の構造、そして最もよくみられる半月板損傷、変形性膝関節症について、それぞれの特徴、対処、治療法について詳しく解説させて頂きます。
第3回 9月24日 (金) 配信
股関節痛のケア
名古屋市立大学病院 整形外科 黒柳 元
股関節の痛みは様々な病気や怪我が原因で起こります。その中で最も多い原因が変形性股関節症です。変形性股関節症は加齢により関節軟骨が変性、摩耗し、関節の構造に破綻をきたした状態です。男性よりも女性に多く見られます。病状が進行すると、股関節痛だけでなく股関節が曲がらない、歩けないなどの運動障害を起こし手術が必要になります。本講座では、①股関節の構造 ②痛みの出現するメカニズム ③股関節に対するリハビリテーション ④最新の人工股関節手術などについてお話します。
第4回 10月1日 (金) 配信
肩の痛みのケア
名古屋市立大学病院 整形外科 吉田 雅人
肩の痛みの原因には五十肩として広く認知されている肩関節周囲炎が挙げられます。肩関節周囲炎は自然経過で良好なケースが多く存在しますが、一方で自然経過でなかなか改善しない場合はその他の原因を考慮しなくてはなりません。その原因として肩のインナーマッスルである肩関節腱板の断裂、肩関節の変形に伴う変形性肩関節症、肩関節の動きの制限に至る肩関節拘縮などが考えられ、それぞれに病態に対して治療法が異なります。今回はそれぞれの病態に合わせた肩の痛みの治療法および御自身での対処法に関しましてお話させて頂きます。
第5回 10月8日 (金) 配信
リウマチによる関節痛のケア
名古屋市立大学医学部附属東部医療センター 整形外科 永谷 祐子
関節リウマチは、全身の関節に痛みや腫れといった症状がでて、時間の経過とともに関節を破壊する疾患です。関節の滑膜が炎症を起こし、その炎症によって軟骨や骨の破壊が起きます。関節の破壊が進行すると様々な機能障害をきたし、現在の生活を継続することが困難になります。近年の抗リウマチ薬の進歩により、関節破壊をくいとめることができるようになりました。そのためには早期診断と早期治療が不可欠です。日常診療では、患者さんともに治療結果を評価し、必要があればさらなる治療の強化、そして手術的治療の併用を考えます。
第6回 10月15日 (金) 配信
手の痛みのケア
名古屋市立大学病院 整形外科 岡本 秀貴
手は人間にとって特別な器官で、手で触ることで多くの情報を知覚する重要な五感機能のひとつです。手の痛みによって我々の日常生活動作は著しく低下してしまいます。手の痛みの原因には、手根管症候群、手指変形性関節症(へバーデン結節、ブシャール結節、母指CM関節症)、腱鞘炎(ばね指、ケルバン腱鞘炎、尺側手根伸筋腱腱鞘炎)など様々なものがあります。これらの疾患の予防や治療を手外科専門医が分かりやすく解説します。
第7回 10月22日 (水) 配信
腰痛・坐骨神経痛のケア
名古屋市立大学病院 整形外科 稻田 充
病院を受診する原因はさまざまあり、腰痛を主訴に病院を受診する患者さんは最も多いといわれています。腰痛の原因は、急性腰痛や慢性的な腰痛があり、年齢によってさまざまで若年者なら、腰椎椎間板ヘルニアや腰椎分離症、また青年期、壮年期になると狭窄症や骨化症などが追加されるようになります。また中年から高齢になると側弯症などの変性疾患があります.後期高齢者になると骨粗鬆症による圧迫骨折も問題となります.また心因性腰痛もあり、痛みと動きが関係しないなどの特徴もあり、現代社会では、腰痛に対して正確に診断し、適切な治療をする必要があります。
第8回 10月29日 (金) 配信
癌の骨転移のケア
名古屋市立大学病院 整形外科 村上 英樹
背骨は肺、肝臓と並んで、癌がよく転移する3大部位の1つです。癌の中でも前立腺癌、乳癌、腎癌、甲状腺癌、肺癌は高い頻度で背骨に転移します。以前は「癌が背骨に転移すれば末期で手遅れ、あとは死を待つだけ」というのが常識でした。しかし、最近の癌治療の進歩はめざましく、癌患者さんが長生きできるようになりました。それにともなって背骨の転移の患者さんが増えています。そして背骨に転移した患者さんも長生きできるようになってきています。我々は癌が転移した背骨を丸ごと切除しています。この世界最先端の手術を紹介します。