ナノテクノロジーと光を駆使した新しい技術のデザインと実用化
活動の概要 | 現代は,光を創成する時代から光を自由自在に操作する時代に変貌を遂げようとしております。ナノテクノロジーを駆使したメタマテリアル等に代表される人工光制御材料の出現は,今まで光を用いては不可能と思われて来た様々な技術,例えば"透明マント"及び"原子観察可能な光学顕微鏡"の実現を可能とする段階にまで来ており,人類の光に対する接し方に変革を迫っております。芸術工学研究科松本研究室では,光とナノテクノロジーを組み合わせることによって,従来は不可能と思われていた新技術の創出を目指して研究開発をおこなっております。具体的な研究テーマとしては,(1)短パルス可視光,深紫外LEDを用いた新しい殺菌技術の開発,(2)シリコン基板上に終端した水素原子の量子もつれ状態を利用した量子情報技術の研究,(3)0次元量子材料を用いた同位体濃縮技術の研究,等をおこなっており,これらのシーズ技術を産学連携によって実用化レベルにまで高めて参りたいと思っております。 |
活動の時期 | 2021年8月(プレスリリース) |
関連URL | (1)https://doi.org/10.1038/s41598-020-74714-5(殺菌関連) |
(2) https://doi.org/10.1038/s41598-021-01543-5(殺菌関連) | |
(3) https://doi.org/10.3390/w11020294(殺菌関連) | |
(4) https://doi.org/10.3390/w11050968(殺菌関連) | |
(5) https://doi.org/10.1103/PhysRevMaterials.1.051601(量子情報関連) | |
(6) https://doi.org/10.1103/PhysRevB.103.245401(量子情報関連) | |
(7) https://doi.org/10.1103/PhysRevMaterials.5.066003(0次元量子材料) | |
researchmap URL | https://researchmap.jp/read1253163 |
関連する論文 | ● Ichiro Tatsuno, Yuna Niimi, Hiroshi Terashima, Tadao Hasegawa, and Takahiro Matsumoto, “Mechanism of transient photothermal inactivation of bacteria using a wavelength-tunable nanosecond pulsed laser,” Scientific Reports 11, 22310 (2021). ● Takahiro Matsumoto, Hidehiko Sugimoto, Takashi Ohhara, Akio Tokumitsu, Makoto Tomita, and Susumu Ikeda, “Quantum proton entanglement on a nanocrystalline silicon surface,” Phys. Rev. B 103, 245401 (2021). ● Takahiro Matsumoto, Ikumi Nomata, Takashi Ohhara, and Yoshihiko Kanemitsu, “Determination of localized surface phonons in nanocrystalline silicon by inelastic neutron scattering spectroscopy and its application to deuterium isotope enrichment,” Phys. Rev. Materials 5, 066003 (2021). |
関連する特許 | シリコン基板上に終端した水素原子の量子もつれ状態を利用した量子情報処理技術について特許出願中。 |
期待される効果、今後の展望 | 今後は研究室所有の技術ならびに情報を出発点として、各企業において展開可能な新しい応用について具体的にアイデアを出し合い、共同で特許出願を図るようなイメージで仕事を進めていきたいと考えております。ナノ材料と光技術を組み合わせることによって、将来の社会に必要な多くの技術を創出することができます。まずは、日常の技術的問題についても気兼ねなく相談して頂ければと思っております。 |
所属 | 芸術工学研究科 産業イノベーションデザイン領域 |
氏名 | 松本貴裕 |
専門分野 | ナノ材料工学,光工学・光量子科学,熱工学 |
図1:可視光を用いた新しい殺菌技術の効果を示す写真(大腸菌).
図2:Si基板上に終端した水素の量子もつれ状態を利用した量子スワッピング原理.