名古屋市立大学の歴史
名古屋市立大学の歴史
本稿のおわりにあたり、『令和元年度 事業報告書(第14期) 平成31年4月~令和2年3月』から名古屋市立大学の現況を記しておく。現在の名古屋市立大学は、大学の組織としては、役員会のもとに7学部7研究科および事務局があり、総合情報センター・高等教育院など12のセンター・院がある。理事長・学長は郡健二郎、副理事長(事務局長)は丹羽吉彦で、他に6名の理事と2名の監事が配置されている。
教員は613名で、うち常勤は518名、非常勤は95名、職員は2328名で、うち常勤は1323名、非常勤は1005名である。常勤の教職員のうち国からの出向者は0名、地方公共団体からの出向者は90名である。
学生の入学定員は、令和2年(2020)5月1日現在、学士課程は、医学部97名、薬学部100名、経済学部230名、人文社会学部200名(うち第三年次編入学生6名)、芸術工学部100名、看護学部80名、総合生命理学部43名である。大学院課程は、医学研究科博士課程52名、修士課程10名、薬学研究科博士前期課程42名、博士後期課程12名、博士課程10名、経済学研究科博士前期課程40名、博士後期課程5名、人間文化研究科博士前期課程35名、博士後期課程5名、芸術工学研究科博士前期課程30名、博士後期課程5名、看護学研究科博士前期課程24名、博士後期課程5名、理学研究科博士前期課程15名、博士後期課程5名である。
学生現員は、令和2年5月1日現在、学士課程学生3877名、科目等履修生30名、特別聴講学生16名であり、大学院博士前期課程学生364名、同後期課程学生105名、同博士課程学生248名、同修士課程学生15名、研究生13名、科目等履修生19名特別研究学生2名、特別聴講学生2名である。
現在、名古屋市立大学開学70周年を記念していくつかの事業が実施されている。その事業の一つとして、令和2年(2020)度、名古屋市立大学大学史資料館が開設され、名古屋市立大学70年史が編纂された。
大学史資料館は、大学の歴史に関する資料を収集、保管、調査し、その成果を展示という形で発信する施設として設置された。これによって、在学生、卒業生、教職員が名古屋市立大学の建学の志や以後の発展の情熱を共有し、将来のさらなる飛翔の礎にすることを目的にしている。あわせて、本学の国際交流の展開を展示し、これによって協定大学との連携が深化し、名古屋市立大学の国際交流がさらなる発展を遂げることを企図している。
大学の歴史は社会との関係の中で展開する。名古屋市立大学の歴史は、名古屋市がどのような高等教育をめざしたかの歴史でもある。大学史資料館の展示によってその歩みが明確化され、大学関係者はもとより広く市民をはじめ国内外の方々にその意義が認識されることが期待される。
大学史資料館は、山の畑キャンパス(滝子キャンパス)の学生会館の2階に設置され、そこに大学で保管される資料、卒業生から寄贈された思い出の品々などを展示した。資料館の内装の構想、最初の展示の企画、解説の執筆、事務作業などについては、吉田一彦・浅岡悦子・手嶋大侑と教務企画室の小林理恵子が担当した。最初の展示では、「名古屋市立大学の沿革」「初代学長 戸谷銀三郎」「八高古墳」「学生生活の歩み」「国際交流」「特集展示」のコーナーが設置された。2020年は世界で、そして日本で新型コロナウィルス感染症が流行した年であり、そのため名古屋市立大学開学70周年記念事業の多くは令和3年(2021)度に延期とされたが、学生会館のリフォーム完成・リニューアルオープンのセレモニーは限定的に実施され、その一つとして令和2年(2020)10月31日に大学史資料館の開館式典が実施され、11月から一般に公開が開始された。
※本稿「名古屋市立大学の歴史」は、吉田一彦、浅岡悦子、手嶋大侑が共同で執筆した。
[執筆者紹介]
吉田一彦
1955年東京都生まれ。上智大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(文学、大阪大学)。専門分野:歴史学。専攻:日本古代史、日本宗教史。現在、名古屋市立大学大学院人間文化研究科教授、副学長。主な著書に『古代仏教をよみなおす』(吉川弘文館、2006年)、『民衆の古代史』(風媒社、2006年)、『仏教伝来の研究』(吉川弘文館、2012年)、『『日本書紀』の呪縛』(集英社新書、2016年)、共編著に『日本宗教史』全6巻(吉川弘文館、2020年)などがある。
浅岡悦子
1986年愛知県生まれ。名古屋市立大学大学院人間文化研究科博士後期課程修了。博士(人間文化)。専門分野:歴史学、文学。専攻:日本古代史、上代文学。現在、名古屋市立大学人間文化研究科研究員、名古屋市立大学、愛知大学、金城学院大学、名古屋女子短期大学等非常勤講師。主な論文に「『新撰亀相記』成立年考」(『古事記年報』60、2017年)、「熱田神宮と草薙剣」(『アジアの中の日本文化』風間書房、2019年)などがある。
手嶋大侑
1992年三重県生まれ。名古屋市立大学大学院人間文化研究科博士後期課程修了。博士(人間文化)。専門分野:歴史学。専攻:日本古代史、日本中世史。現在、名古屋市立大学人間文化研究科研究員、名古屋市立大学、愛知県立大学、信州大学、中京大学、同朋大学等非常勤講師。主な論文に「平安中期の年官と庄園」(『日本歴史』830、2017年)、「平安中期における受領と年官」(『歴史学研究』983、2019年)などがある。