名古屋市立大学の歴史

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第Ⅴ章 市立三大学の統合と人文社会学部、芸術工学部、自然科学研究教育センターの成立

5. 教養教育の変遷と実施の全学体制

(1)複数の教養教育カリキュラムから統一カリキュラムへ

 平成8年(1996)に設置された人文社会学部と芸術工学部は、独自のカリキュラムによる教養教育課程を実施した。これに対し、医学部、薬学部、経済学部は従来のカリキュラムによる教養教育課程が継続した。これにより、名古屋市立大学の教養教育課程は、二本立てのカリキュラムとなった。また、平成11年(1999)度から看護学部が発足し、これも独自のカリキュラムによる教養教育課程を実施した。これにより、3種類のカリキュラムが並行して開講されるようになった。これを改革し、また教養部に代わる新たな教養教育の企画・実施体制を構築することが大きな課題になった。
 平成11年度、人文社会学部と芸術工学部が完成年度を迎え、平成12年(2000)4月より、看護学部を除く5学部について、各学部の理念・目標を尊重しつつ可能な範囲において教養教育科目の共通化をはかる改革が行なわれ、5学部統一カリキュラムが設置、実施された。この改革では、①修得単位数、進級要件及び授業科目区分の見直し、②一部科目の専門教育科目への移行(経済学部)、③基礎科目(医学部・薬学部)の一部見直し、④単位数の計算方法の一部変更(医学部・薬学部)、⑤授業科目の共通化による5学部学生が混在する授業の推進、などが実施された。
 続けて、看護学部が完成年度を迎え、これを契機に平成15年(2003)4月より、全学部が協調し、共通の理念をもつ全学教養教育課程が構築された。こうして、看護学部を含めた6学部統一カリキュラムが設置、実施された。この改革では、①修得単位数、進級要件の見直し、②「テーマ科目」の新設及び共通教養科目区分の見直し、③共通教養科目区分「情報と数理」の授業科目区分の変更、④外国語科目の一部見直し、⑤看護学部の授業科目区分の変更、などが実施された。

(2)教養教育実施の全学体制

 教養部を改組、廃止した後、全学の教養教育をどのように運営、実施するかは、全国の大学で大きな課題となった。名古屋市立大学では、当初は教養教育に関するいくつかの全学委員会を編成して教養教育の企画、運営、実施にあたった。やがて、平成20年(2008)度より、教養教育を全学体制のもとに推進し、その実施について総括するとともに教育の質を管理するための機関として「教養教育推進機構」を発足させた。そして、従前より教養教育の実施にあたってきた「教養教育実施委員会」とともに全学の教養教育の責任ある企画、実施が行なわれた。
 教養教育推進機構は、平成24年(2012)度より、全学の教務企画委員会と統合されて「大学教育推進機構」となった。教務企画委員会は、全学の教務の委員会で、教養教育に限らず、専門教育についても審議する委員会であった。これによって、大学教育推進機構は、全学の教養教育とともに専門教育についても企画、運営、実施する機関となった。