名古屋市立大学の歴史

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第Ⅶ章 名古屋市立大学の法人化と近年における発展

2. 公立大学法人名古屋市立大学

(1)国公立大学の法人化

 国はまた、国公立大学の法人化を進めた。政府は、国立大学の独立行政法人化について、平成11年(1999)4月、大学の自主性を尊重しつつ大学改革の一環として検討し、平成15年(2003)までに結論を得ると閣議決定した。これを受けて、同12年(2000)7月、有識者で構成される調査検討会議が検討を開始し、同14年(2002)3月に最終報告である「新しい『国立大学法人』像について」をとりまとめた。政府は、同年11月、競争的環境の中で世界最高水準の大学を育成するため、「国立大学法人」化などの施策を通じて大学の構造改革を進めると閣議決定した。同15年(2003)7月、国立大学法人法などの関係6法が国会で成立し、同年10月に施行された。これにより、国立大学は、平成16年(2004)4月、国立大学法人に移行した。
 これと並行して、公立大学法人の制度が平成16年4月に創設された。根拠になる法は地方独立行政法人法である。これにより、設置者である地方公共団体の判断に基づいて公立大学法人が設立されていった。公立大学法人は、同年、公立大学法人国際教養大学が成立したのを皮切りに、同17年(2005)に6つの、同18年(2006)に15の、そして同19年(2007)に11の公立大学法人が成立した。

(2)公立大学法人名古屋市立大学の成立

 名古屋市立大学は、平成18年(2006)4月に法人化し、公立大学法人名古屋市立大学に移行した。名古屋市立大学の法人化については、平成14年(2002)から議論が開始され、将来構想検討委員会及び大学制度検討委員会で検討が進められ、同15年(2003)11月に「名古屋市立大学将来構想――個性と活力あふれる総合大学をめざして――」が策定された。ここで、法人化について、名古屋市立大学は、地域貢献、独自性、不断の自己改革の視点に立ち、自主性と自立性を備えた大学として使命を果たすため、マネジメント全般に渡って自己決定できる権限が付与される法人化を選択する、との方針が謳われた。これを受けて、同年12月の評議会において、種々議論ののち、「法人化」というアイテムを活用して大学改革を進めていく、との決定がなされた。
 法人化の準備には、「法人化準備委員会」を組織して対処することになり、同年12月18日に第1回の会議が開催された。あわせて法人化準備委員会の企画部会において、内藤能房(副学長)部会長のもと各部局から選出された委員が精力的に法人化の具体化について議論を進めた。その後、同16年(2004)、17年(2005)に、大学の請来構想を踏まえた中期目標・中期計画の策定、大学運営システムの構築と定款の作成、新たな人事給与制度・財務会計制度の設計とシステムの構築、新たな財務負担への対応、評価についての検討などをめぐって数多くの議論と調整がなされ、同18年4月、法人化がなされた。
 公立大学法人名古屋市立大学では、理事長・学長を同一人が務める形態がとられた。法人化にともない、大学の意志決定機関として「役員会」が設置された。また、従来の評議会に代わって、「教育研究審議会」と「経営審議会」が置かれ、大学の教育・研究や経営について審議・決定が行なわれるようになった。なお、「教育研究審議会」と「経営審議会」には学外者が委員として含まれ、また後述する「法人評価委員会」は全員が学外者で構成されており、これらの組織において外部の意見が取り入れられる仕組みが構築された。最初の理事長・学長は西野仁雄が務めた。

(3)中期目標・中期計画

 法人化された大学は、6年間ごとの中期目標および中期計画を作成して事業を実施する。名古屋市立大学も、法人化にあたり、中期目標及び中期計画を定めた。中期目標は、法人が6年間に達成すべき目標を設置者が策定するものであり、中期計画とは中期計画を達成するための具体的計画を法人が作成するものである。さらに、中期計画を達成するため、法人は年度計画を作成して年度ごとに実施する事業の計画を定めることとなった。また、法人は、各年度の業務の実績について、設置者によって設置される「評価委員会」の評価を受けることとなった。名古屋市立大学の場合は、名古屋市によって「名古屋市公立大学法人評価委員会」が設置され、年度ごとの評価を受けることとなった。
 公立大学法人名古屋市立大学(以下「名古屋市立大学」と略称する)は、法人化にあたり、「第一期中期目標・中期計画(平成18~23年度)」を策定して法人の事業を開始した。その後も、「第二期中期目標・中期計画(平成24~29年度)」、「第三期中期目標・中期計画(平成30~令和5年度)」を策定して事業を実施している。そして、毎年、その年度ごとの業務実績報告を「名古屋市公立大学法人評価委員会」に提出し、その評価を受けている。なお、「中期目標・中期計画」は、HPで公開している。
 これに先立ち、平成16年(2004)、学校教育法が改正されて、大学等の認証評価制度が開始された。これにより、国公私立の大学は、7年に一度、認証評価機関による認証評価を受けることになった。認証評価とは、文部科学大臣の認証を受けた評価機関(認証評価機関)が、大学、短期大学、高等専門学校、専門職大学院の教育研究活動等の状況について、各認証評価機関が定める評価基準に基づいて行なう評価のことである。機関別認証評価と分野別認証評価の2種類があり、大学等はいずれかの認証評価機関を自ら選択して評価を受けることが義務づけられた。
 名古屋市立大学は、平成 22年(2010)度、最初の認証評価を独立行政法人大学評価・学位授与機構(のち独立行政法人大学改革支援・学位授与機構)から受けた。評価は同年6月に提出した「自己評価書」をもとに行なわれ、同23年(2011)3月に「名古屋市立大学は、大学設置基準をはじめ関係法令に適合し、大学評価・学位授与機構が定める大学評価基準を満たしている」との評価を受けた。次に、平成28年(2016)度に大学基準協会による認証評価を受け、同29年(2017)3月に「評価の結果、貴大学は本協会の大学基準に適合している」との評価を受けた。二度目の認証評価であった。