学部・研究科・附属病院の歴史
学部・研究科・附属病院の歴史
日進月歩の生命科学研究と同様、動物実験のあり方も時代とともに大きく変遷する。従来は、イヌやネコ、ウサギ、モルモット等を用いた臨床医学や生理学領域の実験が主流であったが、2,000年代以降、遺伝子工学・発生工学と実験動物学が融合し、現在では、マウスの利用が圧倒的である。一方で、小型霊長類のコモンマーモセットが特に神経分野の研究に欠かせなくなり、超免疫不全動物を利用したヒト化マウスの利用が一般化しつつある。さらに、名古屋市立大学は、従来ラットを用いた研究が盛んであるが、これまで技術的に困難であったラットの遺伝子改変が比較的簡便となっており、今後の発展が期待される。全学実験動物センターは、このような国内外の学術研究の動向を踏まえ、長期的な視点や明確なビジョンを持って、本学における動物実験を推進していく。
この実現のために、全学実験動物センターは、引き続き動物実験の基本である3R(代替法、使用数の削減、苦痛軽減)および関連する法、基準を遵守しながら、利用者への倫理的・技術的サポートと高品質な実験動物の飼養保管を行う。特に今後の10年は、マウス以外の遺伝子改変動物の作製、および次世代シーケンサー等によって得られた患者の情報を、いかに素早く動物実験やその他様々な方法を用いて患者に還元していくか、の2点について、国際社会においてイニシアチブを発揮できる学術研究体制を整備していく。また、老朽化の著しい実験設備や解析機器について、効率的に更新を行うとともに、広く役に立つ先端機器の導入や運用について、学内外の意見を幅広く聴取しながら、より利用者の立場に立ったセンターへと発展を目指す。