学部・研究科・附属病院の歴史
学部・研究科・附属病院の歴史
名古屋市立大学人文社会学部(人社)では2007年度、日常生活を営む上で生じる様々な課題を改善・解決するための支援を行う専門職である国家資格「社会福祉士(ソーシャルワーカー)」課程(CSWr課程)を開設した。2019年度までに67名が国家試験に合格し、各方面で活躍している(合格率94.4%)。
また、これまでの本学における実績をふまえて、(一社)日本ソーシャルワーク教育学校連盟認定「スクール(学校)ソーシャルワーク」教育課程(SSWr課程)を2019年度より開設している。SSWr課程については2021年度以降、CSWr課程に加えて本格的な教育指導がスタートする予定となっている。
人社のディプロマポリシーの冒頭には、「私たちの望む未来のために、今日の人間、社会、文化に関わる諸課題を人文科学・社会科学の視点から研究し、それらに分野横断的に取り組み、持続可能な社会の形成に貢献できる人」の育成を主眼としている旨が示されており、そのための教育理念として「『持続可能な生き方/あり方』を捉え直す教育」(ESD)が掲げられている。むろんCSWr課程も単なる「実学」としてではなく、専門職養成を通じて本理念を到達目標にするべく日々教育を行っている。本課程の卒業生は、社会福祉施設や病院のソーシャルワーカー、あるいは社会福祉協議会の地域福祉活動専門員といった専門職のみならず、国や自治体行政職等、幅広く活躍している。また、民間企業にも多数の卒業生を輩出している。社会福祉士資格を活かし、福祉機器系最大手企業の採用人事担当として活躍している卒業生もいる。
最早、枕詞のように使われるようになった「少子高齢化」だけが福祉の課題ではない。社会福祉とは、そもそも人びとの生活全体を対象とするものである。人社の理念をふまえた、人びとのしあわせを願う熱い想いとそれを多様なフィールドで実現できる力量とを兼ね備えた「教養人」としての専門職養成にこれからも邁進していきたいと考えている。
人間文化研究科准教授
樋澤 吉彦