学部・研究科・附属病院の歴史

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経済学部・経済学研究科

経済学部・経済学研究科の現在

現在を支える制度

 名古屋市立大学経済学部・経済学研究科には、組織を円滑に運営するために予算、教務、学生生活、図書資料、情報ネットワークなど数多くの多様な「委員会」があり、すべての教員が委員長または委員として、いくつかの委員会に参画しています。経済学部・経済学研究科の制度は、主に委員会の活動を通じて形成され、ときに変革されます。経済学部・経済学研究科の現在は、伝統と革新のせめぎあいから生まれる制度によって日常的に支えられています。 以下では、主に入学から卒業までの経済学部生・研究科生の観点に沿い、(1)入試制度・入学関連制度、(2)入学後のさまざまな学習支援制度・FD制度、(3)国際交流制度、(4)学習意欲への資金支援制度、(5)就職・進路決定支援制度、(6)学習成果への表彰制度、(7)同窓会制度を取り上げ、順に紹介します。


1. 入試制度

 現在、名古屋市立大学経済学部は各学年の学生定員を230人とし、公共政策学科・マネジメントシステム学科・会計ファイナンス学科の3学科体制となっています。これら3学科の位置づけや教育内容・教育方針について、各学科長が紹介します。

経済学部

 名古屋市立大学経済学部では一般選抜においては前期日程・後期日程に入試を行い、またそれ以外にも多様な人材に門戸を開くために、特別選抜として推薦A、推薦B、私費外国人留学生の入試を実施しています。
 一般選抜の前期日程では、大学入試センター試験(令和2年(2020)度入試まで、以下同)・調査書と個別学力検査の結果を総合的に考慮して、約120名の最終合格者を決定します。後期日程では、個別学力検査がEコース(英語)かMコース(数学)の選択となりますが、前期日程と同様の総合的判定により、各25名、合計50名の最終合格者が決定されます。。ただし、後期日程の個別学力検査受験者のうち、大学入試センター試験の成績が上位20位以内であった者は、調査書を含めた総合的判定により、最終合格者とします。
 推薦Aは、高等学校の専門学科または総合学科を卒業見込みの生徒を対象としており、出願書類による一次審査、調査書・推薦書及び内申点、面接による総合判定で約10名の最終合格者が決定されます。
 推薦Bは、本学部に特に入学を希望する者を対象としており、出願書類、大学入試センター試験の数学と英語の成績による審査の結果を総合して約30名の入学者の選抜を行います。
 私費外国人留学生については、日本留学試験、小論文と面接によって、若干名の合格者を判定しています。
 多様な入学生を求めるという狙いから、このように複数の入試制度を設定しており、入試の際に受験生が習得しておくべき知識の水準や内容はそれぞれ異なっています。しかし、いずれにおいても経済学部が求める学生像として、

  • 経済・経営分野に強い関心を持っている人
  • 前向きの学習意欲を持っている人
  • 自分で明確な目標を持っている人
  • 国際的分野について十分な理解力を持っている人
  • 豊かな教養の形成を目指す人

が共通しています。

(学部入試委員長:匿名教員)
経済学部ホームぺージ「学部入試情報」
https://www.econ.nagoya-cu.ac.jp/entrance/exam1


経済学研究科

 大学院経済学研究科には、前期課程入試と後期課程入試がそれぞれあります。学部と同様、多様な人材を求めて複数の入試制度を設定しています。


前期課程入試

 前期課程入試には、一般選抜、外国人特別選抜、社会人特別選抜、総合特別選抜、学部内選抜、そして近年設置された・秋期入試の6種類があり、このうち一般選抜と外国人特別選抜は毎年2回実施しています。

  • 一般選抜は、学科および英語の筆記試験と口述試験によって合格者が決められます。
  • 外国人特別選抜は、大学卒業(見込み)相当の外国人を対象とし、学科または小論文の筆記試験と口述試験で合否判定がなされます。
  • 社会人特別選抜は大学を卒業してから3年以上経過した者を主な対象とし(その他、個別資格審査もあり)、書類審査と口述試験で合格者が決められます。ここに医療経済マネジメントコースと経営者コースの募集も含められます。
  • 総合特別選抜は、大学卒業(見込み)者を対象とし、書類審査と口述試験で合格者が決められます。
  • 学部内選抜は、本学経済学部の成績優秀者を対象としています。
  • 秋期入試は、外国で秋期に大学を卒業した者を主な対象とし、書類審査と口述試験により合格者を決めています。令和2年(2020)度にこの入試制度による初めての入学者がありました。


後期課程入試

 後期課程入試には、一般選抜と早期修了プログラムがあります。
一般選抜は、修士学位取得(見込み)者を対象とし、英語の筆記試験と口述試験で合格者を決めます。
早期修了プログラムは、一定の研究業績を有する者を対象とし、標準修業年限3年である博士後期課程を最短1年で修了し、課程博士の学位を取得できるプログラムです。

(大学院入試委員長:匿名教員) 経済学部ホームぺージ「大学院入試情報」
https://www.econ.nagoya-cu.ac.jp/entrance/exam2
名古屋市立大学ホームぺージ「大学院入試情報・経済学研究科」
http://www.nagoya-cu.ac.jp/admissions/graduate/econ/index.html


その他の入学関連制度

  • 外国人研究生制度……外国人留学生を対象とし、大学院経済学研究科に入学予定の前年度から研究生として在籍し、指導教員がつき、大学院進学の準備を進めます。経済学部の授業を12単位以上受講し(単位認定はなし)、週10時間以上を学習に当てます。学部レベルの基礎学力と日本語能力の習得を目的としています。この制度により、令和2年(2020)度開始時点で2名が本学部・研究科で学んでいます。
  • 科目等履修生制度……経済学部・大学院経済学研究科が開講している単位制の授業科目のうち、本学部・研究科が認めたものを科目等履修生として履修することができます。 所定の授業科目を履修し試験に合格した場合には、当該授業科目の単位を修得したものとして、修得単位の証明書を交付します。
  • 他大学との連携教育制度……名古屋大学大学院経済学研究科、名城大学大学院経営学研究科、名古屋工業大学工学研究科と単位互換協定を結んでおり、毎年度初めに履修できる科目が発表されます。
  • 研究員制度……大学院博士前期課程または修士課程修了者であるか、それと同等以上の学力があると経済学研究科教授会で認められた者を対象とし、毎年度の許可制で研究活動を行います。指導教員がつき、毎年度末に「研究員研究結果報告書」を提出します。平成29年(2017)度より名古屋市立大学の情報学術資料が利用できるようになりました。この制度により、令和2年(2020)度開始時点で継続・新規合わせて38名の研究員が在籍しています。

名古屋市立大学ホームぺージ「科目等履修生」
http://www.nagoya-cu.ac.jp/admissions/non-degree/detail/index.html
経済学部ホームぺージ「他大学との連携」
https://www.econ.nagoya-cu.ac.jp/graduate/universities
経済学部ホームぺージ「研究員制度」
https://www.econ.nagoya-cu.ac.jp/graduate/kenkyuin

2. 入学後のさまざまな学習支援制度・FD制度

 経済学部・経済学研究科では、入学から卒業まで切れ目のないよう、さまざまな学習支援制度を設け、きめ細やかな個別対応に努めています。また他方で、教員による教育の質の向上こそが学習支援の基本となります。教員に対するFD(Faculty Development)制度を設けてきました。

学習支援

チューター制度

 経済学部に入学すると担任の教員が決まりますが、これを「チューター」といいます。およそ8人の学生に対し、担任教員が1人つきます。経済学部では平成24年(2012)4月からこうしたチューター制度を設けており、経済学部1・2年生に対して学習や大学生活に関する助言や相談を行っています。また、入学時の1年生に2年生数名が「オリター」(指導役)としてつく慣例もあり、助言・相談のほか、学生同士ならではの情報交換やコミュニケーションをとっています。

●演習(ゼミ)と「ゼミEXPO」
 3・4年生になると、少人数教育制度である「演習」(ゼミ)の担当教員がチューターの役割を引き継ぎ、また大学生活における専門的教育の到達点を示すことになります。「演習」こそが、大学生活において最も貴重で思い出深い学習経験をもたらす場となることがほとんどでしょう。
経済学部では、そのゼミ選考の時期に、各ゼミ募集要項の掲示、担当教員による2回の説明会に加え、「ゼミEXPO」と呼ばれる合同発表会を平成28年(2016)から開催するようになりました。3年生や4年生の既存ゼミ生が研究成果のポスターを制作し、各会場で一斉に発表をします。ゼミを選ぼうとする学生(主に2年生)が自由に来場して視聴・質問をすることができる仕組みです。上下学年の学問的交流やゼミ活動の活性化にも役立っています。

●学生活動掲示板
 ゼミEXPOで研究発表に使われたポスターは、学生活動掲示板に貼られています。令和元年(2019)3月に経済学部内(3号館1階)に開設された掲示板は、学生の研究活動の内容を示すこと、また他者の成果を見ることで学生の学習意欲を刺激することを目的としています。

●研究倫理講習、「修士論文・リサーチペーパー(RP)の書き方講座」
 研究者は、研究倫理の遵守を常に意識し、質の高い研究遂行を目指さなければなりません。名古屋市立大学経済学部では、各ゼミにおいて毎年、研究倫理に関する講習を行っています。また経済学研究科では、指導教員から個人的指導をより多く受け、専門性も高まりますが、研究者に共通して習得が求められる研究作法・技法を伝えることを目的とした「修士論文・リサーチペーパー(RP)の書き方講座」を開催しています。本研究科教員が講師となり、前期課程1年生全員を対象として毎年8・9月の夜間に2回、説明や実践訓練をします。修士論文やRPを書く前に研究倫理の遵守を意識づけ、着実な研究遂行を後押しする制度です。

●学習室
 経済学部では平成21年(2009)7月に「学習室」を開設しました。講義に関する質問、教養数学・統計学の補習、講義資料の配架・配布、優秀卒業論文の配架(閲覧希望受付)などに個別対応しています。

●資格対策室
 税理士、公認会計士、公務員などを目指す学生のための資格対策室があります。関係資料の閲覧や自習用のスペースがあり、試験対策に利用することができます。

●談話室
 講義の間の休憩やグループでのディスカッションなどに学生が自由に利用できる談話室があります。


FD

●授業評価アンケート
「授業評価アンケート」は本学で最も早期から継続的に実施してきました。平成16年(2004)から実施されてきた経済学部の方式は、平成24年(2012)に全学に採用され、現在では経済学部を含むすべての学部において年に2度(前期・後期の授業の最終週)、授業方法・内容に関するアンケートが各授業の全履修者に配布され、回収されています。授業担当教員はアンケート結果を毎度確認し、自己点検評価(コメント)を提出しており、その結果やコメントは学内で公開されます。

●FDワークショップ
また、経済学部・経済学研究科では、定例として年に2度(前期・後期)、また臨時にも「FDワークショップ」を開催しています。本学部・研究科の教員が集まり、学生からの評価、授業のコツ、様子全般について最新の情報を交換・共有し、全授業の質の底上げや特殊な問題の解決に向けてあれこれ議論します。他教員の話を聞くことで、新たな工夫も生まれやすくなります。FDの要点は、教員側の反省と工夫の積み重ねにより、教育内容・方法・技術の持続的な改善を図ることにあります。

●大学満足度調査
授業を含めた大学生活全般に関する「大学満足度調査」も、経済学部の各学年に対して年1回実施しています。経済学部として改善すべき課題を見出し、将来計画に役立てています。

(FD委員長:藤田菜々子)
経済学部ホームぺージ「FD委員会より」
https://www.econ.nagoya-cu.ac.jp/studentlife/fd


☆編集コラム:「火曜研究会」

 大学教員は研究者であり、各自の専門的研究を基礎として、教育を提供しています。したがって、基本的には、研究の充実が教育内容の向上を生むといえるでしょう。
 名古屋市立大学経済学部・経済学研究科は、学生の学びのニーズに応えるべく、多様な専門分野の教員をそろえています。これは換言すれば、ある教員が自分と同じ専門分野をもつ他教員を探しても、学内にはほぼ見当たらないことを意味します。そのため、教員は自らの研究の発展のために、通常は学外の各種学会や研究会などに高度な専門的議論の相手を求めることになりますし、論文投稿といった研究成果の発表先もそうなりがちです。
 これに対し、本学経済学部・経済学研究科では経済学専攻の教員数名を中心として、毎月1回程度、「火曜研究会」が自発的に開催されてきました。これは経済学という学問がかなり標準化した理論・実証方法をもつことも影響していますが、教員同士の貴重な研究交流の場となっています。本研究科所属の教員のほか、他大学などから外部講師を招いて行われる研究報告もあり、また現在は大学院生による研究発表も積極的に行われ、多様なコメントを得られる貴重な機会となっています。各々の分析視点をもちながらも、共通したテーマについて高度な学術的議論が展開されています。

(藤田菜々子)

名古屋市立大学ホームぺージ「研究者データベース」
https://nrd.nagoya-cu.ac.jp/search/index.html
経済学部ホームぺージ「経済学研究科火曜研究会」
https://www.econ.nagoya-cu.ac.jp/teachers/achievements/tue

3. 国際交流制度

 名古屋市立大学の国際交流協定には、大学間交流協定、学部間交流協定、スタディー・アブロード・プログラム、インターンシップ・プログラムの4種類があります。令和2年(2020)4月現在、46大学との大学間交流協定があり、18大学と学部間協定を結んでいます。また、スタディー・アブロード・プログラムはアメリカとイギリスに各1校があり、インターンシップ・プログラムはローマに本部を置く国際食料農業機関(FAO)と実施しています。このなかで、とりわけ経済学部・経済学研究科の教員が交流協定の締結に中心的な役割を担い、現在でも交流が続いている提携校は、歴史が長い順に次のとおりです(本サイト「経済学部・経済学研究科の沿革」該当箇所もご覧ください)。

  • オーストラリア・シドニーにあるニューサウス・ウェールズ大学商学部経済学科(研究者交流協定、平成2年(1990)11月21日調印)
  • 中国社会科学院日本研究所(学部間交流協定、平成9年(1997)10月―)
  • フランスのパリ第13大学(大学間交流協定、平成19年(2007)―)
  • 韓国の南ソウル大学(大学間交流協定、平成23年(2011)4月―)
  • ドイツのルートヴィクスハーフェン経済大学(大学間交流協定、同年12月―)
  • アメリカのミシガン州立大学(大学間交流協定、平成29年(2017)6月―)
  • ベトナム貿易大学(大学間交流協定、同年7月―)
  • イタリアのヴェローナ大学(大学間交流協定、平成31年(2019)2月―)

 なお、本学部・研究科に所属する学生の国際的な研究活動支援を目的に、平成31年(2019)度から国際研究奨励費が設けられ、フィリピンやシンガポールなど現地で調査研究を行なった学生に支給されました。近年、学生の海外派遣数も徐々に増加しており、教員と学生の海外での活躍が期待されます。

(国際交流委員長:板倉健)
名古屋市立大学ホームぺージ「国際交流センター・国際交流協定」
https://www.nagoya-cu.ac.jp/international/center/partner/index.html
経済学部ホームぺージ「国際交流」
https://www.econ.nagoya-cu.ac.jp/studentlife/international

4. 学習意欲への資金支援制度

 名古屋市立大学経済学部・大学院経済学研究科は、学生の学習意欲を尊重し、資金支援の諸制度を提示・設置しています。

●資格取得支援制度
 資格取得支援制度は、各種の資格試験に合格した場合、その受験料を全額支給します。これは名古屋市立大学全学の制度ですが、英語に関する試験のほか、公認会計士や税理士、日商簿記(1級)、社会保険労務士など、経済学や経営学に関連する多くの資格も対象に含まれています。

●協定校派遣学生奨学金
 海外の協定校に派遣される学生は、名古屋市立大学後援会の奨学金のサポートを受けることができます。ほかにも外国政府、日本学生支援機構などによる奨学金もあります。

●経済学部同窓会による協定校留学費補助制度
 経済学部同窓会(瑞山会)から、本学の協定校へ留学した学生に対して、一定の条件を満たす場合、その留学費の一部が補助されます。

●修学支援制度
 上記制度のほか、本学には修学支援制度(減免・給付型奨学金)、名市大スタート支援奨学金、日本学生支援機構奨学金など、学生生活を援助する制度が多くあります。

経済学部ホームぺージ「学生支援制度」
https://www.econ.nagoya-cu.ac.jp/studentlife/support
名古屋市立大学ホームぺージ「資格取得支援制度」
https://www.nagoya-cu.ac.jp/career/qualification/support/index.html
名古屋市立大学ホームぺージ「奨学金(海外留学関係)」
https://www.nagoya-cu.ac.jp/international/studyabroad/scholarship/index.html

5. 就職・進学などの進路決定支援制度

名市大生の就職状況と名市大の「実力」

 ここ数年、「大学ランキング」なるものが新聞、雑誌、書籍やインターネットといったメディアの人気コンテンツになっています。それらの多くで卒業生の就職状況は大学を評価するうえでの重要な指標になっています。このことは、大学の社会的評価において、卒業生の就職状況がますます大きなウェイトを占めるようになってきたことの表れだといえます。もちろん、この点については、いろいろな考え方があるでしょう。しかしながら、一つには、社会はつねに有為な人材を求めており、そうした人材を一人でも多く供給することが大学の重要な社会的使命であることから、二つには、大多数の学生が社会の一員として活躍するために必要な教育や情報の提供を大学に期待していることから、卒業生の就職状況には、大学の「実力」を評価するための指標の一つとして説得力があることは間違いないでしょう。
 さて、それでは本学の卒業生の就職状況はどうでしょうか。まず、もっとも一般的な指標である就職率(就職ができた学生/就職を希望していた学生)をみると、年度によって多少の変動はあるものの、いわゆる就職氷河期と呼ばれるような時期を含めても常に9割を超えているだけではなく、もっとも高い年度では99%以上を記録するなど、きわめて高い水準を維持してきました。次に就職先をみると、長らく地元志向、安定志向の傾向がみられました。具体的には、就職先として、名古屋市、愛知県をはじめとする官公庁、メガバンク、地方銀行や保険会社などの金融機関、そして自動車関係のメーカーが多くを占めてきました。しかし、最近では、変化は近年の日本の社会経済の構造的な変化を反映してか、金融機関への就職者数が大きく減少する一方で、いわゆるIT関連企業に就職する卒業生が急増しています。また首都圏に拠点をおく企業やベンチャー企業に就職する卒業生の割合も増加しています。 
 このような就職先の変化をともなった長期にわたる高い就職率が、名古屋市立大学の実力を示すものだとするならば、その実力とは具体的にどのようなものでしょうか。私の考えでは、それはおおよそ以下の4つに集約されます。一つは、学生の資質の高さです。名古屋市立大学の学生には、高い倍率をともなった厳しい入学試験を突破してきただけあって、高い知的能力と自ら設定した目標に向かって自発的かつ継続的に努力する積極性と粘り強さが備わっています。二つは、名市大への社会的信頼です。これにはさまざまな源泉があるでしょう。しかし、その核になっているのは何といっても卒業生の皆さんの長年にわたるさまざまな活躍であり、これをつうじて「名市大出身者なら大丈夫」というイメージがとくに中部地方には広くいきわたっています。三つは、就職支援のさまざまな取り組みです。新卒の就職活動のあり方はどんどん変化しており、企業からのアプローチもますます多様化しています。そうした状況下では、採用活動にかんする情報がきわめて重要な意味をもっています。本学では、1年次からキャリア関係の講義を開講するほか、キャリア支援センターの相談員をはじめとする就職支援のスタッフが中心となって、さまざまな形で情報の収集、集約、提供をおこなっています。四つは、充実した教育です。名市大では、教養教育において幅広い分野の学習を促進するほか、専門科目においては、それぞれの分野についてより深いレベルでの教育をおこなっています。さらにゼミをはじめとする少人数クラスでの教員やほかのメンバーとのディスカッションなどのアクティブな取りくみは、専門分野にかんする知見の習得だけではなく、仕事観や人生観などの涵養にも大きく貢献しているように思われます。
 名古屋市立大学の高い就職実績は、これらの4つのいずれが欠けても決して実現できなかったでしょう。そして、この4つは、広い意味での「大学」を構成する4つのグループ、すなわち、学生、卒業生、教員以外のスタッフ、教員のそれぞれに対応しています。そうした意味で、就職実績という数字で表された名古屋市立大学の「実力」は、これらのグループのすべての力から構成されるものだということを示しているといえるでしょう。
 今後、大学を取りまく環境そのものが大きく変化し、どんどん厳しくなっていくことが予想されます。もちろん、それは新卒者の就職に限ったことではありません。そんななかで名市大の「実力」を高めていくためには、これら4つの力をこれまで以上に高めつつ、有機的に結びつけていくことが求められるのではないでしょうか。

(就職委員長:出口将人)
経済学部ホームぺージ「進路情報」
https://www.econ.nagoya-cu.ac.jp/faculty/course1
https://www.econ.nagoya-cu.ac.jp/graduate/course2

6. 学習成果への表彰制度

 名古屋市立大学、経済学部・大学院経済学研究科は、学習成果への表彰制度をいくつか設けています。学びのインセンティブを与えるとともに、優秀な成果が実る喜びを学生自身、そして本学の多くの関係者と分かち合うことを目的とした制度です。

●「瑞秀賞」(成績優秀者)表彰制度
 名古屋市立大学全学の制度として、各年度に優秀な成績を修めた学生を表彰します。
学業において優秀な成績を修めた学部生を対象とし、経済学部では表彰対象者を選出する基準として、教養教育科目と専門科目のGPAを用いています。2年次は3名、3~4年次は各学科から1名を選出します。表彰学生は学内において広報されます。

●「瑞耀賞」(主席卒業)表彰制度
 名古屋市立大学全学の制度として、卒業式において、各学部から1名、学業において最も優秀な成績を修めた学生を表彰します。原則、在学中の通算成績を対象に評価を行います。

●「瑞躍賞」表彰制度
 名古屋市立大学全学の制度として、課外活動や社会貢献活動で優れた活躍をした団体を表彰します。

●学部長表彰制度
 経済学部独自の制度として、卒業パーティーにおいて、ゼミ活動やクラブ活動などにおいて優れた成果を修めた学生を経済学部長が表彰します。

●学部同窓会「瑞山会」による卒業生表彰制度
 経済学部独自の制度として、同窓会(瑞山会)が卒業する学生の顕著な成果に対して表彰する制度です。卒業パーティーで授与されます。1年生から4年生までの全期間の累積GPAによる成績上位者2名、ならびに資格取得等1名の合計3名が表彰されます。

滝子キャンパス見取図

ソテツ広場完成、式典準備中(2018年4月12日)

「瑞秀賞」表彰式(2019年5月10日)
2018年度卒業パーティーでの瑞山会による卒業生表彰式(2019年3月25日)


名古屋市立大学ホームぺージ「学業成績優秀者の表彰制度」
https://www.nagoya-cu.ac.jp/education/campus-life/commendation/index.html
経済学部ホームぺージ「表彰制度」
https://www.econ.nagoya-cu.ac.jp/studentlife/scholarship

 

7. 同窓会からの支援

 名古屋市立大学経済学部・大学院経済学研究科を卒業した後には、同窓会があります。
 経済学部同窓会は「瑞山会」であり、昭和53年(1978)に設立されました。経済学部に寄附講座の授業を提供、交流会を開催、卒業生3名を表彰するなど、現役学部生も支援しています。もちろん卒業生の集まりも開かれており、会報刊行などの活動が継続的になされています。瑞山会のウェブページを通じて、経済学部卒業生の動向を知ることができ、同窓生としてつながりをもつことができます。
 大学院経済学研究科の同窓会は、「剣陵会」です。瑞山会と同様に、経済学部に寄附講座の授業を提供しています。社会人大学院の修了生を中心に設立されており、公開講座を開催するなどの活動を続けています。

経済学部ホームぺージ「同窓会」
https://www.econ.nagoya-cu.ac.jp/studentlife/alumni
瑞山会ホームぺージ
https://www.zuizankai.jp/