学部・研究科・附属病院の歴史

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薬学部・薬学研究科

研究室紹介

創薬生命科学専攻 

生命分子薬学講座

生体超分子システム解析学

マスト細胞の分泌機構

免疫系と神経系の生体超分子システムの解析から創薬へ

 免疫系と神経系は、生体にみられる最も高度かつ精緻な超分子システムです。我々は免疫系の破綻であるアレルギーと、神経細胞のネットワークの形成機構について研究しています。

1.マスト細胞における刺激-分泌連関の研究と創薬への展開
 花粉症や喘息などのアレルギー疾患は、マスト細胞からの開口放出によるヒスタミン等の分泌によって惹起されます。我々はこのマスト細胞の刺激から分泌までのシグナル伝達の機構解明を行い、新規抗アレルギー薬の開発を目指しています。

2.神経回路形成の分子機構およびグリア細胞の役割の研究
 神経細胞は樹状突起と軸索という二種類の神経突起を伸長して神経回路を形成し、ネットワークとして機能して高度な情報処理を行います。この過程では、グリア細胞という細胞種も重要であることが明らかになりつつあります。神経突起伸長・神経回路形成の分子機構およびグリア細胞の役割を解明するとともに、それらの異常による神経疾患発症のメカニズムの理解と創薬への応用を目指します。

教授 平嶋 尚英
准教授 ⽥中 正彦

マスト細胞の分泌機構

コロイド・高分子物性学

コロイド・高分子物性学分野 図

ソフトな系の構造形成を探求する

 コロイド・高分子・ゲルなどの「柔らかい物質」(ソフトマター)は自発的に集合して、さまざまな構造を形成します。私たちはコロイド系の規則配列構造(コロイド結晶:写真左)や会合構造(クラスター・凝集構造:写真右)など、ソフトマターの秩序化機構の解明と、これらの集合構造の材料・医薬領域への応用を研究しています。特に、荷電コロイドや高分子添加系の秩序構造、2次元的な規則配列、粒子の会合体形成、マクロ凝集の過程などを対象に、相互作用と構造の関係性を調べています。コロイド・界面科学、高分子科学、非平衡統計物理学に基づき、実験および計算機シミュレーションによる研究を行っています。得られた構造体は、光学特性を利用した様々な材料や、医療用センサーとして活用が期待されています。

教授 ⼭中 淳平
准教授 奥薗 透
講師 豊⽟ 彰⼦

コロイド・高分子物性学分野 図

生命分子構造学

生命分子構造学分野 図

生命システムの構築・動作原理の統合的理解を目指す

 タンパク質や糖鎖をはじめとする生命分子は、様々な時空間スケールでのダイナミズムを発揮しており、特異的な分子間相互作用を介した超分子装置を構築することを通じて、精緻な生体機能を発動しています。今世紀にはいり、生命素子としてのタンパク質の3次元構造情報は爆発的な勢いで蓄積されてきました。私たちは、このような分子集団の原子レベルでのミクロな振る舞いが、一定の秩序のもとに自己組織化して細胞の活動を制御し、精神活動をはじめとする高次生体機能を発動する仕組みを統合的に理解することを模索しています。さらに、神経変性疾患のように生命システムの秩序の破綻がもたらす病気のメカニズムの解明と、それに基づく創薬を目指した研究を行っています。そのために、NMR分光法およびX線結晶構造解析を主体とする構造生物学に加えて、分子設計・ナノケミストリーから分子・細胞・個体レベルでの機能解析に至るまで、多面的なアプローチを展開しています。

特任教授 加藤 晃⼀
准教授 佐藤 匡史
講師 ⽮⽊ 宏和

生命分子構造学分野 図

分子生物薬学

オルガネラ 図

細胞内オルガネラを理解し神経系の謎に迫る

 脳神経系は生物の身体の中で最も複雑な器官で、その働きや機構には未だ不明な点が多くあります。神経細胞は長い神経突起を伸ばし、その先端から神経伝達物質を放出し、他の細胞に情報を伝達します。この情報伝達のネットワークにより、運動、知覚、記憶、思考、情動などがコントロールされています。
 私たちは、細胞内小器官(=オルガネラ)の理解を通じて、神経系の働きや仕組みを研究しています。細胞内では、小胞体がミトコンドリアやエンドソームなどのオルガネラと膜接触部位というマイクロドメインで相互作用しています。このオルガネラ間コミュニケーションにより、細胞内の脂質代謝やイオン調節やオルガネラ動態が調節され、細胞内ホメオスタシスが維持されています。そしてその破綻は神経疾患や精神疾患の原因となります。
 私たちの研究室では、タンパク質や細胞や遺伝子改変マウスの解析により、オルガネラ間コミュニケーションの機構を理解し、神経系の機能や関連する疾患の解明に取り組んでいます。

教授 ⽩根 道⼦
講師 中津海 洋⼀
助教 栗原 裕司

オルガネラ 図

薬物送達学

我々が創ったナノ粒子を取り込んだラット肺胞マクロファージ
我々が創ったナノ粒子を取り込んだ
ラット肺胞マクロファージ

新しい機能性Drug Delivery Systemの創製

 Drug Delivery System (DDS、薬物送達システム)とは、 薬物を「必要とする部位」へ、「必要な量」で、「必要な時間」送達し、医薬品を最も有効で、副作用が少なく、患者 に優しい製剤として、薬物投与の最適化を目的とした もので、現在の薬物治療のみならず、今後発展が期待 される遺伝子治療や再生治療においても不可欠な技術 です。 
 薬物送達学分野は、合理的なDDS製剤を創製する 創薬の総仕上げを行う研究分野です。私達は、ナノサイズの粒子設計による新しい機能を付与した DDS製剤を創る(造る・作る)研究を行います。

  1. 新しい標的化DDSの創製
    (Novel Targeted Therapeutic Nano-sized, Micro-sized Particles)

  2. 機能性ナノ粒子の製剤設計
    (Functional Engineered Nano-sized Particles)

教授 尾関 哲也
講師 ⽥上 ⾠秋

我々が創ったナノ粒子を取り込んだラット肺胞マクロファージ
我々が創ったナノ粒子を取り込んだ
ラット肺胞マクロファージ