学部・研究科・附属病院の歴史
学部・研究科・附属病院の歴史
昭和39年(1964)4月1日に初めての入学生を迎え入れた名古屋市立大学経済学部ですが、創立当初は学部長が取り決められておらず、初代学部長に一谷藤一郎教授が就任したのは昭和40年(1965)6月1日のことでした。以来、経済学部長は2年ごとに改選され、平成30年(2018)度に吉田和生教授が第28代経済学部長に就任しました。規定改正を経て、令和2年(2020)4月1日、吉田教授は本学部史上初の2期目の学部長就任となり、現在に至っています。
平成14年(2002)の大学院部局化以来、大学院経済学研究科長が経済学部長を兼務しています。
名古屋市立大学経済学部の初代学部長になった一谷藤一郎教授は、金融理論・金融政策の専門家であり、「瑞山会会報」創刊号の本人の記載によれば、本学部には創立の準備委員から6年間ほど関係し、最後の1年は毎週1回京都から非常勤講師として講義に通っていました。一谷教授は『経済論叢』(京都大学)や『大阪大学経済学』(大阪大学)に多く論文を残していますが、本学部経済学会が発行する学術雑誌『オイコノミカ』の創刊年号(1965年、第1巻第2号)にも「企業監査用と金融政策の有効性」を発表し、後年にもいくつか寄稿しています。多くの著作も残しましたが、とりわけオーストリア学派の経済学者F. A. ハイエクの学説の探究を深め、『資本の純粋理論』や『隷従への道』を日本語に翻訳して刊行しました。
初代経済学部長の教育方針・信条は、「名古屋市立大学経済学部ゼミナール協議会」が1967年に創刊した『市大経済』の巻頭言によく表れています。1966年12月7日付で、次のような文章を学生たちに送りました(「 」内は抜粋、残りは要約)。
「本学部がこのように未完全の段階にあるため、さまざまな設備や専門図書の点、長い歴史と伝統を誇る他大学の経済学部に比べて遜色のあることはやむをえないが、しかし、われわれはその足りないところを補うに、清新の気風と旺盛なファイトをもってし、着々内容の充実と概観の整備をはかり、近い将来にユニークな学部として、大いにその特徴を発揮させたいと念願している」。名古屋市立大学経済学部の創設以来、「終始一貫して堅持している基本方針」は、「単に学問水準の向上をめざすに止まらず、進んで真にすぐれた有為の人材を育成すること」にほかならない。そのための重要なプランの一つに、「ゼミナール制度の徹底的実施」があり、それは「ピュアーな精神」の徹底化ともいえる。核心をなすのは、少人数指導と各ゼミ室の設置であり、「指導教員との個人接触の緊密化」による「マスプロ教育の弊害の払拭」、ならびに、ゼミが開かれないときでも自由に調査研究できる環境をもつことによる学力向上を狙いとする。
ここに、創設期の名古屋市立大学経済学部の気概とともに、少人数指導の伝統の誕生を見ることができます。なお、初代経済学部長の顔写真は、「瑞山会会報」創刊号4頁に掲載されています。
(資料提供:経済学部同窓会「瑞山会」、文責:編集委員 藤田 菜々子)
瑞山会ホームぺージ「瑞山会会報バックナンバー」
https://www.zuizankai.jp/about/back_number.html
昭和40年(1965)6月1日 | 一谷藤一郎教授、初代経済学部長就任 |
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昭和42年(1967)6月1日 | 静田 均教授、第2代経済学部長就任 |
昭和44年(1969)6月1日 | 平田隆夫教授、第3代経済学部長就任 |
昭和45年(1970)4月1日 | 山本安次郎教授、第4代経済学部長就任 |
昭和47年(1972)4月1日 | 柴田 裕教授、第5代経済学部長就任 |
昭和49年(1974)4月1日 | 岡崎不二男教授、第6代経済学部長就任 |
昭和51年(1976)4月1日 | 岩橋亮輔教授、第7代経済学部長就任 |
昭和53年(1978)4月1日 | 松井哲夫教授、第8代経済学部長就任 |
昭和55年(1980)4月1日 | 牛嶋 正教授、第9代経済学部長就任 |
昭和57年(1982)4月1日 | 妙見 孟教授、第10代経済学部長就任 |
昭和59年(1984)4月1日 | 村田安雄教授、第11代経済学部長就任 |
昭和61年(1986)4月1日 | 松永嘉夫教授、第12代経済学部長就任 |
昭和63年(1988)4月1日 | 木村吉男教授、第13代経済学部長就任 |
平成2年(1990)4月1日 | 上村政彦教授、第14代経済学部長就任 |
平成4年(1992)4月1日 | 根津永二教授、第15代経済学部長就任 |
平成6年(1994)4月1日 | 宮川 淳教授、第16代経済学部長就任 |
平成8年(1996)4月1日 | 内藤能房教授、第17代経済学部長就任 |
平成10年(1998)4月1日 | 塩見治人教授、第18代経済学部長就任 |
平成12年(2000)4月1日 | 國村道雄教授、第19代経済学部長就任 |
平成14年(2002)4月1日 | 宮原孝夫教授、第20代経済学部長就任 |
平成16年(2004)4月1日 | 藪内繁己教授、第21代経済学部長就任 |
平成18年(2006)4月1日 | 神山眞一教授、第22代経済学部長就任 |
平成20年(2008)4月1日 | 星野優太教授、第23代経済学部長就任 |
平成22年(2010)4月1日 | 井上泰夫教授、第24代経済学部長就任 |
平成24年(2012)4月1日 | 森 徹教授、第25代経済学部長就任 |
平成26年(2014)4月1日 | 焼田 党教授、第26代経済学部長就任 |
平成28年(2016)4月1日 | 三澤哲也教授、第27代経済学部長就任 |
平成30年(2018)4月1日 | 吉田和生教授、第28代経済学部長就任 |
令和2年(2020)4月1日 | 吉田和生教授、 〃 経済学部長(2期目)就任 |